手作り麹甘酒の賞味期限と保存方法、火入れについて

発酵コラム

みなさん、こんにちは。
麹の仲間たちの長谷川です。

麹甘酒は「飲む点滴」や「飲む美容液」とも呼ばれ、栄養成分を豊富に含む発酵食品です。飲むだけでなく、砂糖の代わりとして料理にも活用できるため、日常生活に取り入れやすい発酵食品でもあります。

しかし、麹甘酒は塩が入っていなく、糖類が多く含まれていることから味噌や醤油などの発酵食品に比べて賞味期限が短いです。そのため、麹甘酒を美味しく楽しみながら日常生活に取り入れるためには、麹甘酒の賞味期限や保存方法を知ることが大切です。

また、麹甘酒は炊飯器でも簡単に作ることができるため、手作りしたことがある方も多いのではないでしょうか。手作りする中で「麹甘酒はどのくらい日持ちがするの?」「保存方法のコツはあるの?」など疑問を持たれた方もいると思います。

そこで今回の記事では、以下の点について詳しく解説していきたいと思います。

  • 手作り麹甘酒の賞味期限
  • 保存方法とそのコツ
  • 賞味期限を延ばす「火入れ」の方法

「手作り麹甘酒を美味しく飲みたい」「麹甘酒を日常生活に取り入れたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

手作り麹甘酒(生甘酒)の賞味期限と保存方法

手作り麹甘酒、自家製の麹甘酒は、「生甘酒」ともいいます。

生甘酒とは、麹甘酒の完成後、火入れを行わないで、冷蔵、または冷凍保存されたものをいいます。

火入れとは、麹甘酒を加熱して微生物(乳酸菌、雑菌)を死滅、酵素を失活(活動を停止)させる作業のことをいいます。火入れをすることで、麹甘酒の味の変化を抑え、賞味期限を延ばすことができるようになります。

生甘酒は、常温、冷蔵で流通させることが難しいため、スーパーでは「生甘酒」と記載があるものはなかなか見ないと思います。生甘酒を手に入れたい方は、自分で作るか、通販サイトで購入するのが一般的です。

手作り麹甘酒(生甘酒)の賞味期限は冷蔵庫で約2週間

生甘酒は火入れをしていないため、酵素が活動している状態になります酵素分解が継続して行われている状態

出来たての麹甘酒よりも、2、3日冷蔵庫で保存したものを飲んだ方が甘く感じるのは、酵素が活動しているためです。酵素は冷蔵庫の中でもゆっくりと活動しています。

また生甘酒には乳酸菌も生きています。乳酸菌は麹甘酒の糖分をエサに冷蔵庫の中でもゆっくりと繁殖していくため、少しずつ酸味が感じられるようになっていきます。

このように生甘酒は冷蔵庫で保存していても日々味が変化していきます。それが生甘酒の魅力でもあります。

また保存容器の蓋の開封により、雑菌の繁殖も進むため、味は変化していきます。美味しい状態で使い切りたいという方は、2週間以内を目安にするといいと思います。

長期保存したい場合は冷凍保存

すぐに飲まない、使わない生甘酒は冷凍保存するのがオススメです。冷凍することで、半年以上保存できる感覚があります。

冷凍保存するときのポイントは、1週間以内で使い切れる量に小分けしておくことです。使う際は、前日に冷蔵庫に移して解凍してください。小分けしておくことで、フレッシュな状態使い切ることができます。

ミニタッパーなど、一度に使い切れる量に小分けしておくと、常にフレッシュな状態で使うことができます。

麹甘酒をミニタッパーに小分けして保存
100円均一で購入したミニタッパー

生甘酒のメリット

  • 日々変わる味の変化を楽しむことができる
  • 乳酸発酵の様子が観察できる
  • 酵素分解の力を利用できる(お肉やお魚を漬け込むことで柔らかくなる)

麹甘酒の保存方法のコツと注意点

麹甘酒を美味しく飲みきる、使い切るための保存方法のコツと、注意点についてお伝えします。

①一週間以内に使い切れる保存容器を使う

一週間以内に使い切れる保存容器に入れておくと、味の変化が少なく、フレッシュな状態のうちに使い切ることができます。

私は麹甘酒を一度に大量に作ることが多いため、その際はスクリュータイプのタッパーに小分けし、作成日を書いたシールを貼ります。一週間以内に使い切る分は冷蔵庫に保存し、それ以外は冷凍庫で保存しています。

麹甘酒をスクリュータイプのタッパー容器に保存
いつ作ったものかわからなくならないように作成日シールを貼る

私は「岩崎工業 抗菌 スクリュートップキーパー」を使用しています。

スクリュータイプなのでこぼれる心配がなく、目盛りがあるのでパッと量もわかりやすいです。

麹甘酒をスクリュータイプのタッパー容器に保存
500ml 深型」サイズがお気に入り

②清潔な保存容器で保存する、清潔な道具(スプーン)を使用する

麹甘酒と触れるものは清潔なものを使用しましょう。

③蓋を開けっぱなしにしない、常温に置いたままにしない

麹甘酒は使う分を取りだしたら、蓋を閉めて早いうちに冷蔵庫に入れるようにしましょう。

よく見られるピンクカビについて

麹甘酒を使い切らないで、長い間保存しておくと、容器の内側にピンクのカビが見られることがあります。

麹甘酒を容器から取り出す際、容器の内側に麹甘酒が付着することがあります。水分中でない、空気と触れている部分は雑菌の繁殖が起こりやすいので注意が必要です。麹甘酒には塩が含まれていなく、糖類が多く含まれているので雑菌が繁殖しやすい環境にあります。

ピンクのカビが見られる前に使い切るようにしましょう。ご自身の麹甘酒の消費量に合わせた保存容器を選び、保存期間が長くならないうちに使い切ることを心がけましょう。

麹甘酒に見られるピンクのカビ
麹甘酒に見られるピンクのカビ

麹甘酒の火入れについて

生甘酒に対して、火入れした麹甘酒のことを火入れ甘酒といいます。

スーパーやドラックストアなどで常温、冷蔵で置かれている麹甘酒は火入れされたもの(火入れ甘酒)になります。

火入れのメリット

  1. 賞味期限が長くなる(保存が効くようになる)
    味の変化を抑えることもできるようになる
  2. 甘くなる

火入れの行い方

火入れの目的は、微生物を死滅させ、酵素を失活(活動を停止)させることです。そうすることで、味の変化を防ぎ、賞味期限を延ばすことができます。

火入れは酵素が失活する70℃以上で10分以上を目安にするといいと思います。

私は火入れをするときは、麹甘酒を鍋に移して、ふつふつと沸騰するくらいで加熱しています。鍋底が焦げないように木べらでかき混ぜるようにしてください。

長時間煮詰めることで、麹甘酒の濃縮度を高めて、ジャムのような濃厚な甘さにすることもできます。

火入れをすると、冷蔵庫で約1ヶ月程度保存できる感覚があります。

麹甘酒の火入れ
火入れをすると甘くなる

まとめ

麹甘酒は栄養成分を豊富に含んでおり、飲むだけでなく、砂糖の代わりとして料理にも使える便利な発酵食品です。今回の知識を役立てていただき、麹甘酒を日常生活に無理なく取り入れていってほしいと思います。

生甘酒、火入れ甘酒の栄養素についてはほとんど違いはないといわれています。手作りするだけでなく、さまざまな麹甘酒を試してみることで、甘酒生活を飽きずに楽しく続けることができます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

  • 「発酵検定 公式テキスト」一般社団法人 日本発酵文化協会(監修)
  • 「別冊 NHK きょうの料理 使える! 広がる! 塩麹&麹レシピ」
  • 「発酵食品を腐らせないためのコツ 【保存編】 – 小倉ヒラクの発酵道場 番外編 その2-」https://www.youtube.com/watch?v=cJjW6S9uUbI&t=17s