こんにちは。
麹の仲間たちの長谷川です。
4月は新年度や新学期が始まる時期です。心機一転、新しい気持ちでスタートを切りたいですね。
先日は前々から行きたかった下北沢にある発酵デパートメントに行ってきました。
全国各地のユニークな発酵食品が取りそろえてあり、どれも気になるもの、興味をそそられるものばかりでした。
今回は発酵デパートメントで購入した味噌と醤油を紹介したいと思います。
このブログを読んで、少しでも発酵食品に興味を持っていただけたり、発酵デパートメントに足を運び、発酵の世界の広さと面白さを感じていただけたら幸いです。
発酵デパートメント
発酵デパートメントはカフェや飲食店など個性的なお店が集まった複合商業施設「BONUS TRACK(ボーナストラック)」の中にあります。
スーパーや自然食料品店などでは見ない発酵食品がズラリと並んでいます。
商品の販売だけでなく、イートインコーナーもあり、店内でゆっくりと食事をすることもできます。
コンセプトは「世界の発酵みんな集まれ!」
発酵デパートメントのオーナーは発酵デザイナーの小倉ヒラクさんです。
『【小倉ヒラクの発酵沼へようこそ!】第2回:「セレクト」ショップにしない理由』には発酵デパートメントのコンセプトについて書かれています。
下記はその要約になります。
- 発酵デパートメントはセレクトショップではない(取り扱う商品は小倉ヒラクさんの価値基準(好き嫌い、美味しい美味しくない)で選んでいない)
- コンセプトは「世界の発酵みんな集まれ!(目的のない呼びかけ)」
世界中に星の数ほどある発酵ブツを集めることは楽しい、そしていっぱい集まるほど何か楽しいことが起こるよね!
コンセプトには使命や目的、意味はない - 「全てのカテゴリーの網羅」「どのカテゴリーにも該当しない不思議なローカル発酵ブツ」も置くというポリシー
- 発酵文化には地域性があり、好みによる味の多様性がある
絶対の正解はなく、手に取る人ごとの「しっくりくる」があるのみ
発酵デパートメントに並ぶ商品を見ていると、なんだかワクワクする感じがあり、単純に「これは何だろう」という好奇心をくすぐられるものが多くありました。
自分の興味の赴くままにその場の気になるものを手に取って選ぶのは楽しい時間でした。
これは何から何まで網羅的に発酵食品が取りそろえてあるからこその面白さだと思います。
ただいま発酵中
「ただいま発酵中」とは発酵をテーマとしたポッドキャスト(ラジオ)です。
発酵の歴史や地域の文化など、発酵の世界を楽しく学ぶことができます。
味噌や醤油など発酵食品を作るときに欠かせない「塩」の話から、「手前味噌の復活と現代日本」という現代の生き方に通じる話まであります。
発酵を様々な角度から切り取り話されるので、聞いているだけで発酵に対する理解が深まります。
発酵の知識がつくと発酵食品を様々な視点から見ることができるようになり、発酵の世界がより面白くなっていきます。
発酵に興味がある方には、是非聴いていただきたい番組です。
買ってきた醤油のご紹介
醤油情報センターによると全国の醤油メーカーは2021年(令和3年)で1,066軒あるとされています。
醤油は地域性があり、またメーカーの努力、方向性により、様々な特徴の醤油があります。
同じ種類である濃口醤油でも味を比べてみると違いがよくわかります。
今回は醤油の種類とともに発酵デパートメントで購入してきた醤油をご紹介していきたいと思います。
醤油の種類
醤油はJAS規格(日本農林規格)により5種類に分けられています。
①濃口醤油
- 濃口醤油は醤油の生産量の80%以上を占めている
- 関東は濃口醤油の文化圏
②淡口醤油
- 兵庫県たつの市で生まれた醤油で、主に関西地方で親しまれている
- 淡い色が特徴で食材の色をきれいに見せてくれる
- 塩分濃度は濃口醤油より高い
③たまり醤油
- たまり醤油は主に愛知、岐阜、三重の東海地方で作られている
- 原料は大豆の割合がほとんどで、小麦は少量
- 大豆の量が多い分、タンパク質が分解されたアミノ酸の旨味を強く感じる
- 小麦を使わないグルテンフリーのたまり醤油もあり、小麦アレルギーの方でも使うことができる
- とろみがあり、濃厚の旨味はおせんべいやお餅によく合う
④再仕込み醤油
- 醤油の生産量は全体の1%
- 通常、醤油を仕込むときは「塩水」に醤油麹を仕込むが、再仕込み醤油は「醤油」に醤油麹を仕込む
- 通常の倍の原材料と歳月がかかる
- 塩分濃度が低く、濃厚で甘味と旨味がよく感じられる
⑤白醤油
- 愛知県碧南市で生まれた醤油で、主に愛知県で作られている
- 原料のほとんどが小麦のため、甘味が強い醤油
- 淡口醤油よりも色が薄い
近藤醸造(東京都)「キッコーゴ丸大豆しょうゆ」
- 濃口醤油
- 天然醸造
- 国産大豆、国産小麦
- 価格が良心的
天然醸造とは
発酵を促進させるための加温をせず、四季の気温の中でゆっくりと発酵させる方法
キッコーゴの由来
「キッコーゴ」という言葉が気になり調べてみました。
「キッコー」とは「亀甲」のことで、「亀甲」とは「亀の甲羅・六角形の模様」のことです。
「ゴ」とは「創業者近藤五郎兵衛」の「五」からとったようです。
つまり「キッコー(亀甲)+ゴ(五)」というわけです。
いろいろなお醤油屋さんの屋号を調べてみるのも面白そうですね。
末廣醤油(兵庫県)「龍野本造りうすくちしょうゆ」
- 淡口醤油
- 創業明治12年(1879年)
- 天然醸造
- 国産大豆、国産小麦
東海醸造(三重県)「底引きたまり」
- たまり醤油
- 天然醸造
- 三年半以上の発酵・熟成
- 原料は国産大豆と塩(小麦を使わないグルテンフリー)
一つの木桶の中で味噌と醤油を作っています。
木桶の底の部分に自然に分離して溜まった液体が「底引きたまり」です。
炊きたてのご飯にかけて食べたところ、びっくりするくらい美味しかったです。ぜひお試しください。
山川醸造(岐阜県)「伝承美濃地溜みのび」
- たまり醤油
- 天然醸造
- 2年以上の発酵・熟成
- 仕込み水に長良川の伏流水を使用
日東醸造(愛知県)「しろたまり」
- 大豆を使用していない醤油(小麦醸造調味料)
- 原材料:小麦、食塩、焼酎(すべて国産)
しろたまりは大豆を使用していないため、醤油(白醤油)と表記することができないため、ラベルの名称の欄には「小麦醸造調味料」と表記されています。
小麦の甘味がよく感じられます。しろたまりがあると醤油の味の幅がグッと広がります。
買ってきた味噌をご紹介
全国味噌工業協同組合連合会には813軒のメーカーが加入しています(2023年4月現在)。
味噌も醤油と同じく、地域性があり、全国にはたくさんの個性ある味噌があります。
今回は白味噌、麦味噌を買ってきたのでそちらの味噌を紹介したいと思います。
片山商店(京都)「京・丹波白みそ」
- 白味噌
- 原材料:米(国産)、大豆(国産)、塩
- 天然醸造
- 麹蓋製法による麹づくり
白味噌とは
- 主に関西で作られている味噌
- 味噌の種類は米味噌で色が白いのが特徴
- 米麹の割合が多く、塩分濃度が低く、発酵期間が短い味噌で甘味が強い
塩分濃度が低いのでしょっぱさは感じなく、上品な甘さがあります。
井伊商店(愛媛)「麦味噌」
- 天然醸造
- 原材料:はだか麦(愛媛県産または香川県産)、塩(香川県製造)
- 大豆を使わない味噌(大豆アレルギーの方でも大丈夫)
麦味噌は通常、麦麹、大豆、塩で作られますが、井伊商店の麦味噌は大豆を使いません。とっても珍しい味噌です。
麦の香りと甘さがよく感じられます。麦の食感も面白いので野菜にそのままつけて食べるのもオススメです。
発酵の世界を楽しむ方法
今回は発酵デパートメントとそこで購入した醤油と味噌をご紹介しました。
発酵の世界を楽しむ方法の一つは「いろいろな商品を購入してみる」です。
いろいろな醤油、味噌を購入して味を比べたり、特徴を調べることで、発酵の世界の広さを知ることができます。
地元のスーパーの場合、地元で消費されているものを中心に置いていることが多いと思います。
地域性や個性のあるものを探している方は発酵デパートメントのような発酵の専門店を訪れてみるといいと思います。
醤油や味噌を複数持つことで、使い分けができ、毎回の食事、料理が楽しくなります。
発酵を通じて皆さんの生活がより豊かなものになることをお祈りしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。