【麹甘酒作りで失敗する3つの原因】「もう失敗しない!」たった3つのポイント

発酵コラム

皆さん、こんにちは。
麹の仲間たちの長谷川です。

私は麹甘酒を作り始めて間もないときはよく失敗をしていました。酸味が強く出てしまったり、腐敗臭がしたり、せっかく作った麹甘酒を泣く泣く捨てることもありました。

麹甘酒作りの失敗の原因を本やインターネットなどで調べたり、自分の経験から考えた結果、麹甘酒作りの失敗の原因は主に3つあることがわかりました。

今回の記事では麹甘酒作りの主な3つの失敗の原因とその対策について解説していきたいと思います。

麹甘酒作りの失敗例
  1. 酸っぱい(酸味が強い)
  2. 甘くない
  3. 腐敗臭がする

①酸っぱい(酸味が強い)原因と対策

麹甘酒が酸っぱくなる原因として考えられるのは、発酵させるときの温度が低いことによる乳酸菌の増殖です。

発酵温度が50℃より低くなり、40℃付近になると乳酸菌が増殖しやすい温度になります。乳酸菌は乳酸と呼ばれる酸味を作り出す微生物のため、乳酸菌が増殖すると、酸っぱい麹甘酒になってしまいます。

麹甘酒を作るときの適切な発酵温度は50~65℃になります。

発酵温度を50℃以上に保つことで、米麹に含まれる酵素(アミラーゼ)の働きが活性化して、お米と米麹自身のデンプンがブドウ糖に分解されて甘くなるだけでなく、乳酸菌や雑菌の増殖も抑えることができます。

麹甘酒作りでは温度管理が重要になります。

炊飯器で麹甘酒を作るときは、発酵の途中で温度が50℃より低くなっていないか確認することが大切です。温度管理が不安という方は、ヨーグルトメーカーを購入することをオススメします。

発酵温度が50℃より低くなってもすぐには酸っぱくはなりません。気づいた段階で発酵温度を50℃以上、できれば55℃程度まで上げるようにしてあげてください。

乳酸菌とは

乳酸菌とは糖質を分解して、乳酸(酸味)を作る細菌群のことです。乳酸菌は発酵菌の仲間で、ヨーグルトやキムチ(漬け物)などの発酵食品に多く存在しています。

乳酸菌が含まれる発酵食品

酸っぱい麹甘酒になってしまった場合

発酵させるときの環境はどのようだったか思い出してみましょう。

発酵温度が50℃よりも低くなってしまったけれど、早いうちに気づくことができて50℃以上に発酵温度を上げることができた場合で、多少酸味を感じる程度で、美味しく飲める範囲であれば、飲んでも問題ないと思います。

発酵温度が40℃付近になり、長時間経過して酸っぱくなってしまったものは、飲むのには注意が必要です。発酵温度が下がると乳酸菌だけでなく、雑菌の繁殖も起こりやすい環境になるからです。

味を確認したときに「酸味を強く感じる」「なんとなくいやな感じがする」場合は、飲まずに捨てるようにした方がいいと思います。

冷蔵庫の中でも乳酸発酵は起きている

きちんと温度管理をして作った麹甘酒はその時点では酸味を帯びていません。しかし冷蔵庫で保存している間にも乳酸発酵は起きているため、徐々に酸味を帯びていくようになります。自家製の麹甘酒は熱を加えていない生甘酒のため、乳酸発酵は進みやすいです。冷蔵庫に保存した状態で進む乳酸発酵は自然な現象ですので、気にしなくて大丈夫です。酸味が強くなり、味が崩れていかないうちに飲みきるようにするといいと思います。

酸っぱい麹甘酒の活用方法

発酵温度が低くなると酸味を帯びやすくなるだけでなく、酵素の働きも低下するため、甘さも控えめになります。酸っぱい麹甘酒でも美味しく飲める範囲のものを使うようにしましょう。

酸味が気になる場合は、ヨーグルトに混ぜたり、果物を加えてスムージーにすると飲みやすくなります。酸味のあるものに合わせてあげることがポイントです。

味噌汁の中に入れたり、味噌や醤油と合わせて合わせ調味料にして料理に使うのもオススメの活用方法です。

酸っぱい麹甘酒の活用方法

②甘くない 原因と対策

麹甘酒が甘くない原因は2つ考えられます。

(1)酵素の失活

麹甘酒の甘さは、米麹に含まれる酵素(アミラーゼ)がお米と米麹自身のデンプンをブドウ糖に分解することにで生まれます。

発酵温度が70℃を超えると酵素は失活(活動が停止する)していきます。

70℃を超えてすぐにすべての酵素が失活するわけではないので、発酵温度が高くなりすぎていることに気づいた場合は、早いうちに温度を下げてあげるようにしてください。

酵素は一度失活してしまうと、温度を下げても再び働きは戻りません。そのため、発酵させるときは65℃以上に温度が上がらないように気をつけましょう。

(2)かき混ぜていない(かき混ぜることが不足している)

発酵の途中は2、3回かき混ぜることで甘くなります。

よくかき混ぜることで、酵素(アミラーゼ)がデンプンと触れあうようになり、分解の速度が大きくなります。またかき混ぜることで麹甘酒全体の温度を均一にすることもできるため、酵素分解が起こりやすい環境を作ることができます。

甘くない麹甘酒になってしまった場合

(1)かき混ぜてから再度発酵させる(発酵時間を延ばす)

麹甘酒の甘さが足りない場合は、よくかき混ぜてから再度発酵させてみてください。

発酵時間は1時間単位で延ばしてみて、甘さが変化しているか確認してみてください。

(2)煮詰める(火入れをする)

発酵時間を延ばしても甘さが出てこない場合は、煮詰めてみましょう。

麹甘酒を鍋に入れてふつふつと煮立たせながら、焦げないようにかき混ぜて、水分を蒸発させながら煮詰めていきます。

どの程度煮詰めるかは、味見をしながら判断してみてください。

発酵時間を延ばしても、煮詰めても甘さが足りないという場合は、麹甘酒を飲むときに蜂蜜や甜菜糖などを加えて、甘さを調節するのがいいと思います。

③腐敗臭がする 原因と対策

腐敗臭の原因として考えられることは、容器や使う道具の殺菌不足です。

対策としては、容器や道具は洗剤で洗った後にしっかりと水切りまでしたものを使うことです。熱湯消毒までしてあげると失敗は少なくなります

温度計や木べらは麹甘酒の中に直接入れるものなので、使用したらすぐ洗うようにして、清潔なものを使用することが大切です。また作業場、台所を清潔に保つことも大切です。

熱湯消毒の仕方は耐熱ステンレスボールに使う道具を入れて、沸騰したお湯を注ぐだけです。

容器と道具の熱湯消毒
ヨーグルトメーカーの容器と使う道具を熱湯消毒

腐敗臭がする麹甘酒とは

まず麹甘酒を飲んだ時に、美味しくないと思います。

飲んだ瞬間に香りや味から「なんとなくいやな感じがする」「飲まない方がいい気がする」 「身体によくない感じがする」と直感的にわかると思います。

味や香りに違和感を覚えた場合は、捨てるようにしましょう。

まとめ

麹甘酒を作る際は、以下のポイントに気をつけて作業を行いましょう。

麹甘酒作りの3つのポイント
  1. 温度管理をきちんとする(発酵温度を50~65℃に保つ)
  2. よくかき混ぜる
  3. 容器や道具は清潔なものを使用する

失敗の原因とその対策を知ることで、次は絶対に成功すると思います。

3つのポイントを押さえて、甘く美味しい麹甘酒をぜひ作ってみてください!