皆さん、こんにちは!麹の仲間たちの長谷川です。
8月9日は、群馬県高崎市にある牧野酒造、群馬県甘楽郡下仁田町にある下仁田納豆の見学に行ってきました。
牧野酒造は1690年創業、群馬県で最も歴史のある日本酒蔵で、群馬県民であれば一度は聞いたことがある「大盃」という日本酒の銘柄(ブランド)を製造しています。
下仁田納豆は全国でも珍しい「経木」と呼ばれる木を紙のように薄く削ったもので納豆を包み、昔ながらの伝統製法で納豆を作り続けている会社です。
見学では商品の製造プロセスを学ばせていただいただけではなく、「どのような考え(想い)で商品を作っているのか」「どのような経緯で商品が生まれたのか」など、商品の背景についてのお話も聞くことができ、多くの気付きと学びがありました。
今回の見学は、群馬県安中市の老舗醤油メーカーである有田屋様のご紹介のおかげで実現できた大変貴重な機会でした。当日は一緒にご同行もしていただき、感謝の念でいっぱいです。
見学には、発酵PUNKのメンバーであるMond Hutte代表の関口ゆうさん(インスタグラム:@yurmony)、江戸前の蕎麦職人である堀越ゆうじさん(インスタグラム:@soba_horikoshi)も一緒に参加しました。
牧野酒造の蔵見学
牧野酒造は群馬県高崎市倉渕町にある日本酒蔵です。
蔵は標高の高い山間地にあります。当日は真夏日でしたが、平地のような蒸し暑さはなく、気持ちよい風が吹いていました。
日本酒製造のプロセスを学ぶ
蔵見学は18代目当主、杜氏でもある牧野顕二郎様にご案内していただきました。
蔵見学は日本酒の製造プロセスを学ぶことからスタートしました。
【日本酒製造のプロセス】
精米→洗米→蒸し米→麹つくり→酒母つくり→本仕込み→搾り→火入れ→貯蔵→壜詰
牧野酒造は挑戦し続ける蔵
牧野酒造は、お米をあまり削らない低精米の「マッチョシリーズ」、日本酒造りの技術を取り入れたウィスキー「倉渕ニューメイク」など、常に新しいことに挑戦し続けている蔵です。
私が牧野酒造の日本酒を初めて飲んだのは今から約1年前の「マッチョ(雄町 純米 80%)」でした。その飲みやすさと美味しさは今でも記憶に残っています。
マッチョを買った当時は、その斬新なラベルから群馬県で最も歴史のある酒蔵の牧野酒造が作っているとは思ってもいませんでした。
仕込み水には榛名山の伏流水を使用
群馬県には赤城山、榛名山、妙義山という上毛三山と呼ばれる、群馬県を代表する3つの山があります。
倉渕は榛名山の西側の麓に位置し、牧野酒造の仕込み水には榛名山の伏流水が使われています。
水質は超軟水とのことでした。
蔵元直売店
蔵見学の最後はお酒を買うため、店内にお邪魔しました。
牧野酒造では梅酒、粕取焼酎、昔ながらの製法である生酛(きもと)造りのお酒も製造しています。
試飲コーナーもありました。
蔵見学では、牧野様の挑戦に対する考え方がとても印象的でした。
「失敗とは、結果がわからなかったこと(挑戦して結果がわかればそれは失敗ではない。)」
「造ってみてみて美味しくないということがわかれば、それは失敗ではない。」
常に挑戦し続ける人の深みのある言葉だと思いました。これからもどんなお酒が出てくるのか、非常に楽しみです。
最後に記念撮影をしていただきました。
ふたば葵で昼食
牧野酒造の蔵見学の後は、安中市にある発酵の定食が楽しめる「ふたば葵」で昼食をとりました。
寝かせ玄米、ぬか漬け、自家製味噌のお味噌汁など、どれも美味しく身体に優しいものばかりでした。
店内は古民家の落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと食事を楽しむことができました。
しっかり食べたのに、全く身体の重さがなく午後もしっかりと動くことができました。
健康的なお食事を楽しみたい方には、ぜひおすすめのお店です。
下仁田納豆の工場見学
下仁田納豆は、自然豊かな山々に囲まれた群馬県甘楽郡下仁田町にあります。
下仁田納豆は、その味と品質の高さから、全国の百貨店にも並び、納豆業界で知らない人はいないほどの全国的に有名な会社です。
工場見学は、笑顔が素敵な社長である南都隆道様が案内してくれました。
社長の南都様は熱意と行動力があり、人としての魅力に溢れている方です。工場見学では納豆の製造のことだけではなく、下仁田納豆の歴史から様々なお話を聞かせていただきました。
写真の木箱は、南都様が小学生から中学生の頃まで納豆の引き売りをしていた頃に使っていた納豆箱です。当時は『なっとぉ・なっとーしもにたなっとっ~~』とうたいながら納豆売りをしていたようです。
下仁田納豆のこだわり
下仁田納豆は昔ながらの伝統的な製法で造られています。
①群馬県産の赤松の経木を使用
一般的な納豆というと、発泡スチロールのパックに入ったものをイメージすると思います。
下仁田納豆では、納豆を包む容器に群馬県産の赤松の経木を使用しています。経木とは木材を紙のように薄く削ったものです。
経木には天然の旨味成分であるグルタミン酸が含まれており、経木で包むことで納豆がより美味しくなります。さらに、経木には松ヤニによる天然の抗菌作用もあり、納豆を衛生的に保つなど、様々なメリットがあります。
②発酵に炭火の熱を利用
納豆造りの主な工程は ①大豆を蒸す ②納豆菌を付けて経木に包む ③温度管理した場所で発酵させる、です。
一般的な納豆造りの工場では、機械による温度管理で部屋の温度を調整して発酵させていますが、下仁田納豆では、炭火の熱を利用して発酵室を温め、発酵させています。
1時間ごとに人が天窓を調節しながら発酵室の温度管理を行い、発酵に適した温度を保っています。これにより、豆の芯までふっくらとした仕上がりになります。
③すべて手造り
一つ一つの作業を手作業で行うことで、品質の高い納豆が出来上がります。
こだわりと手間をかけて育てられた下仁田納豆は、大豆本来の味がしっかり感じられ、一度食べたらリピーターになること間違いなしの美味しさです。
下仁田納豆オリジナル紙芝居
ママなんちゃんこと南都由美様による、下仁田納豆オリジナルの紙芝居の上映も行っていただきました。
「大豆ができるまで」と「納豆ができるまで」を、楽しくわかりやすく教えていただきました。
小学生でも理解できる内容で、納豆をより身近に感じることができました。
下仁田納豆直売店
下仁田納豆では、大粒、中粒、小粒の大豆の大きさが違う納豆、黒豆納豆、有機納豆など様々な種類の納豆を製造しています。
工場見学の最後には、かつて廃業寸前だった下仁田納豆を救った運命の出会いを紹介した「奇跡体験!アンビリバボー」の映像を拝見しました。
南都様は、人の出会いやご縁、「おかげさま」という気持ちを大切にされながら商売をされている方で、その姿からは人としてのあり方や、人生の教訓のようなものまで学ばせていただきました。
購入してきたお土産のご紹介
牧野酒造「古式生酛 美山錦」
牧野酒造では昔ながらの製法である生酛づくりによる日本酒も製造されています。
甘味と旨味のバランスがとれたまろやかな味わいで、生酛らしい深みが感じられる日本酒です。
生酛づくりの日本酒が好きな方は、ぜひチェックしてみてください。
下仁田納豆「妙義山」「黒豆納豆」
「妙義山」は群馬県産の大豆を使用した大粒の納豆です。
大豆がふっくらとしており、ふわっとした粘り気がありました。
大粒ならではのかみごたえと、大豆本来の味がよく感じられました。
「黒豆納豆」は国産黒大豆を使用した大粒の納豆です。
なめらかで柔らかな食感があり、とても食べやすい味でした。黒豆納豆、ぜひオススメです。
下仁田納豆は、納豆特有の臭みが全く感じられず、大粒ながらもペロリと食べられてしまいました。
下仁田納豆を食べる前は、納豆の味や品質について深く考えたことがなく、スーパーでは特にこだわりもなく納豆を選んでいました。しかし、下仁田納豆の美味しさを知ってからは、納豆そのものへの興味がぐっと深まり、納豆を選んで買うようになりました。
見学を終えて
今回の牧野酒造と下仁田納豆の見学では、商品ができるまでのプロセスだけでなく、作り手の想いや考えについても学ぶことができました。そして、美味しい日本酒が飲めたり、美味しい納豆が食べられるのは、情熱を持ってものづくりをされている会社があるからこそだと改めて気づかされました。
見学を通じて、日本酒、納豆がより身近に感じられるようになり、その美味しさを一層深く味わうことができるようになりました。
牧野酒造様、下仁田納豆様、有田屋様、この度は本当にありがとうございました。
牧野酒造、下仁田納豆の商品を見かけたら、ぜひ手に取って、その美味しさを味わってみてください。