こんにちは。麹の仲間たちの長谷川です。
4月になり、平均気温が上がり、冬の朝晩の激しい寒暖差がなくなり、少しずつ過ごしやすい暖かさになってきました。
日常が過ごしやすく、麹づくりも行いやすい季節になってきました。
いつも麹を作るときは蒸籠で蒸していたのですが、金属製の蒸し器、フードスチーマーでも蒸しはうまくいくかどうか試してみたく、お米500gを二つ用意して実際に蒸してみました。
金属製の蒸し器での蒸しは失敗してしまいましたが、フードスチーマーでの蒸しはうまくいき、その後の麹づくりもうまくいきました。
今回の麹づくりの出来は良かったので、麹の作り方の流れをまとめることで、麹を作られている方、麹づくりで悩まれている方のヒントになるかもしれないと思いました。
麹づくりで使用した道具、気をつけたポイントなどについても書いていますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
材料
青森県産まっしぐら:500g
改良長白菌(菱六):4g(お米に対して0.8%)
【前日4/7】洗米、浸漬
麹づくりはお米を「蒸す」ので前日にお米を水に浸す必要があります。
お米は割らないように丁寧に洗うのがポイントです。ゴシゴシと研がないで、水の濁りがなくなるまで水を入れ替えながら洗うようにしています。
浸漬はちょうど24時間行いました。
【1日目4/8】水切り
水切りは角度をつけると水が切れやすいので、ミニタッパーを下に入れて角度をつけています。
蒸し
金属製の蒸し器
水切りを約20分間行った後、金属製の蒸し器で蒸しました。
金属製の蒸し器の場合、水滴がこぼれ落ちるので、手ぬぐいで巻きました。
蒸しは約40分間行いました。
蒸しの失敗
ひねりもちで蒸し具合を確認したところいい感じでした。
しかし、お米の下の方を確認したところ、べちゃべちゃになっていて、麹づくりには適さない状態になっていました。
金属製の蒸し器は水を入れた部分とお米の部分との距離が近いため、べちゃべちゃになってしまったのではないかと考えています。
麹づくりで失敗したときは、思いつく原因を書き出すようにしています。
べちゃべちゃになってしまった原因として、水切りのあまさもあったのではないかと思っています。
水切りがあまいと下の部分に水分が溜まりやすくなるからです。
また蒸し米を剥がしたときに蒸し布がいつも使っているものよりも重いことを感じました。
今回使用した蒸し布は押し入れに眠っていたかなり古いもので、水分を吸収しやすいタイプのものであったようです。
次回は水切りをもう少し長く行い、蒸し布を変えて、水とお米の距離をとって蒸しを行ってみようと思います。
今回の蒸し米はおにぎりにして美味しくいただきました。
フードスチーマー
水切りを約40分間行った後、フードスチーマーで蒸しを行いました。
フードスチーマーはツインバードのものを使用しました。
火力が弱くなりそうなので「受け皿」は外して蒸しました。
蒸しは約45分間行いました。
ひねりもちで蒸し具合を確認したところ、少し硬めでしたが麹づくりに適した硬さになったので、蒸しはこれで切り上げました。
お米の硬さから次回は50分間蒸してもよさそうな気がしました。
蒸し時間について
蒸し時間は火力の強さ、蒸気の抜け方などを見ながら判断しています。
金属製の蒸し器の方はガス火であり、火力が強く、お湯がよく沸騰していました。また蓋をしたときの蒸気の抜け方の勢いもありました。お米の量のことも考えて、40分間くらいで様子を見てみようと判断しました。
フードスチーマーの場合は、お湯の沸騰した感じが弱かったので、「受け皿」を外して金属製の蒸し器よりも長めに蒸してみることにしました。
毎回お湯が沸騰したときの勢い、様子をよく観察しておくことで、ガス火でもIHでも、鍋の大きさを変えても、ある程度蒸し時間の予測が立てられるようになると思います。
冷まし、種切り
蒸したお米は45℃以下になるまで冷ましていきます。
今回は500gの少量なので、広げすぎると水分が蒸発して乾燥しすぎてしまうと思ったので、ステンレスボウルの中で冷まして種切りを行いました。
ステンレスボウルは直径は約29cmのものを使いました。
麹は手ぬぐいで包み込みました。
この手ぬぐいは糀屋三左衛門さんのキャンペーンで応募したところ当たったものです。
糀屋三左衛門は室町時代創業の歴史ある種麹屋さんです。
種麹は0.1g単位まで計ることができるTANITAのクッキングスケールを使っています。
種切りは茶こしを使っています。
ボウルでの種切りはお米が外にこぼれにくく、やりやすかったです。
麹はしっかりと密集させて、外部温度センサーを中心部分に差し込みました。
お米のまとまりを作るのに、貝印のケーキ型(15cm)を使用しました。
縛ることができなかったので、くるくるとまとめました。
麹は保湿対策のためアルミのミニクーラーバッグに入れました。
ミニクーラーバッグは電気毛布にくるんで外側から温めてあげるようにして、中側の温度を作り、麹の温度(品温)を保つようにしました。
包み込みの作業は13:00までには完了しました。
ここから品温は30℃以上、できれば33℃以上まで上げて麹菌の発芽を待ちます。
一日目の作業はこれで終了です。
麹を包み込んでから翌朝の切り返しまでの麹の管理
種麹は麹菌の胞子になります。
胞子はお米に付いた後、温度と水分の条件が満たされることで発芽します。
アルミバッグを使うことで蒸し米の水分が外側に逃げなく(保湿)、一定の温度を外側から加えてあげることで(保温)、麹菌の胞子が発芽する条件が満たされます。
ミニクーラーバッグの中をサウナのような状態にしてあげることがポイントです。
【二日目4/9】切り返し(1回目の手入れ)
7時過ぎに品温を見たところ、45.3℃まで上がっていたので、すぐに切り返しを行いました。
麹がよく固まっていて、手ぬぐいと触れている表面部分にもハゼ(麹菌の菌糸)が見られました。
触ったところ、お米の乾燥は進んでいなく、保湿されているような感じがありました。
ボウルの中で蒸し米を冷まして、種切りを行ったことで水分が抜けすぎず、包み込みまでを行うことができたからではないかと思いました。
また手ぬぐいも保湿に貢献したのではないかと考えています。
今まで500gで麹づくりをするときはフキンを使用していました。
今回手ぬぐいを使用して感じたことは、表面部分のお米の乾燥が進んでいないという点でした。
フキンの方が手ぬぐいよりも生地が厚く、その分お米の水分も吸収しやすいため、お米の乾燥が進んでいたのではないかと思いました。
手ぬぐいはフキンに比べて生地が薄いため、表面部分のお米の水分を吸収しすぎず、フキンの時と比べて乾燥が進んでいなかったのではないかと思いました。
麹自体が熱を持っていたため、ミニクーラーバッグに戻すとすぐに品温が上がると思い、水切りかごに麹を移して、大きめのクーラーバッグに移しました。
麹は広げすぎないようにしています。
クーラーバッグ内の温度は外側から電気毛布をかけて温めて作るようにしました。
二回目の手入れ
13時頃品温が40℃を超えてきたので、二回目の手入れを行いました。
ちょうど麹を包み込んでから24時間が経過した頃です。
切り返しの時よりもハゼが見えるようになってきました。
三回目の手入れ
17時過ぎに三回目の手入れを行いました。
四回目の手入れ
20時30分を過ぎた頃に品温を見ると40℃を超えていたので手入れを行いました。
五回目の手入れ
23時を過ぎた頃に品温を見ると40℃を超えていたので手入れを行いました。
切り返しから二日目の麹の管理
麹の手入れは場所による温度と湿度のムラをとり、酸素を供給する目的があります。
麹の手入れは6時間を目安に行おうと考えていました。
品温を確認したときに40℃を超えているようであれば、その時点で手入れを行い、温度を下げるようにしました。
品温の上がり方により、麹の密集具合、手ぬぐいのかけ方など、環境を見直すようにしました。
【三日目4/10】六回目の手入れ
8時を過ぎた頃に手入れを行いました。
麹の固まりができていました。
麹を食べると甘く、麹の味が感じられました。
七回目の手入れ
13時頃に手入れを行いました。
麹を包み込んでから約48時間が経過した頃です。
三日目の麹の温度管理
麹を作る目的は酵素を作ることにあります。
麹づくりの三日目は品温をコントロールすることで、酵素のデザインをしていく時期です。
今回はアミラーゼという酵素を多く生産して、甘酒用の麹を作るため、品温が40℃前後(38~42℃)で推移するように調節しました。
出麹(完成)、枯らし
23時を過ぎた頃に出麹をしました。
麹を包み込んでから約58時間後の出麹になります。
出麹時間
私は麹を包み込んでから54~60時間までの間で出麹することが多いです。
出麹時間の目安は48時間とされていますが、より酵素を蓄積させて甘い麹を作るために出麹時間を延ばしています。
甘酒を作ったけれど甘くならないという方は、出麹時間を延ばしてみることをオススメします。
昼の頃よりも甘さがしっかりと感じられ、甘い麹に仕上がりました。
乾燥が進みすぎていなく、柔らかさがありました。
枯らしは麹を薄く広げて、粗熱を取るようにします。
麹は翌日の朝にジッパー袋にしまいました。
まとめ
麹づくりはいかがでしたでしょうか。
麹づくりで使用した道具、品温の経過、手入れのタイミングなど、少しでも参考になればいいなと思い、写真を多く掲載させていただきました。
またどのようなことを考えて麹づくりをしていたのかがわかるように、意識していたポイントについても書かせていただきました。
今回の記事が麹づくりをされている方の少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
一緒に麹づくりを楽しんでいきましょう!