皆さん、こんにちは!
麹の仲間たちの長谷川です。
有田屋は今年で創業192年目を迎える群馬県の老舗醤油メーカーです。
群馬県安中市にて創業以来、天然醸造という昔ながらの製法にこだわり、醤油を作り続けています。
醤油蔵見学では有田屋の歴史や醤油づくりのプロセスなどについて丁寧に説明していただきながら、工場内を案内をしていただきました。
実際に長い歴史が積み重なった現場に足を踏み入れることで、有田屋の守り続けてきたもの、伝統や歴史を肌で感じることができました。
群馬県安中市の風土、受け継がれてきた職人の技術、石蔵に住み着く蔵付き酵母など、様々なものが醤油の味わいを形成する要因になり、有田屋でしか作ることができない独自の醤油があることを感じました。
有田屋の醤油づくりに興味がある方はぜひご覧ください。
有田屋の醤油蔵見学
有田屋の創業は1832年、江戸時代後期から群馬県安中市で醤油を作り続けています。
店舗の入り口の左側には有田屋の歴史を伝える看板があります。
店舗では様々な醤油と醤油を使ったスイーツなどが販売されています。
蔵見学は現在の有田屋の7代目当主である湯浅康毅さん、工場長である齋藤晋さんに案内していただきました。
有田屋の醤油づくり
醤油もろみを発酵させる石蔵の外壁には有田屋の醤油づくりのプロセスが書かれた看板があります。
看板を見ながら、有田屋の醤油づくりついて説明していただきました。
蔵見学では醤油のいい香りが常に漂っていました。
濃口醤油は2年、再仕込み醤油は3年
有田屋では昔ながらの製法である天然醸造で醤油づくりを行っています。
天然醸造とは、発酵を促進させるための加温をせず、四季の気温の中で時間をかけてゆっくりと発酵させる方法です。
有田屋の濃口醤油は2年、再仕込み醤油は3年もの歳月をかけて作られています。
醤油は日常で当たり前のように使う調味料ですが、長い歳月と手間をかけて作られていることを知ることで、より味わいながら大切に使おうと思うようになりました。また背景を知ることで、醤油を使う楽しみが増し、普段の食事の時間もより豊かになると思いました。
再仕込み醤油とは
再仕込み醤油とは醤油の種類の一つになります。
醤油には大きく分けて濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込み醤油、白醤油の5つ種類があります。
濃口醤油は全国の醤油の生産量の80%以上を占めるのに対して、再仕込み醤油は1%しかないという貴重な醤油の種類です。
濃口醤油は食塩水に醤油麹(大豆と小麦に麹菌を繁殖させたもの)を仕込むのに対して、再仕込み醤油は醤油に醤油麹を仕込み作られます。
有田屋の再仕込み醤油は2年かけて発酵熟成させた醤油もろみに醤油麹を加えて、さらに1年発酵熟成させたものです。手間と時間をかけて作られていることがわかります。
蔵見学では濃口醤油と再仕込み醤油の味比べをさせていただきましたが、再仕込み醤油の方が旨味が強く、濃厚な醤油であり、ソースのような味わいでした。
三階建ての木造建築
長い歴史が積み重ねられてきたことが感じられます。
この建物の中を通り抜けると、煙突がある裏の通りに出ることができます。
レンガで組まれた煙突
レンガで組まれた煙突は昔のまま倒壊することなく、残り続けています。
かつての醤油蔵の景観が残り、歴史がある場所であることを感じました。
煙突は何のためにあるの?
醤油づくりでは大豆を煮る、小麦を煎る、醤油もろみを搾った醤油の火入れをするなど、熱源が必要になります。
昔は熱源を得るために木炭などを燃やしており、煙突を通じて煙を排出していたようです。
現在は使われていません。
醤油麹を作る工場
醤油麹とは蒸した大豆と煎った小麦に麹菌を繁殖させたものです。醤油は食塩水に醤油麹を仕込んで発酵熟成させることで作られます。
有田屋では醤油麹の原料である大豆、小麦は国産のものを使用しています。
群馬県の無農薬で栽培された大豆、小麦を使った「天然醸造群馬醤油」も製造されています。
醤油麹を作る場所を「麹室(こうじむろ)」と呼びます。
麹室は大豆と小麦に麹菌が繁殖しやすいよう、一定の温度と湿度を保つため、部屋のような構造になっています。
石蔵仕込み
有田屋では、150年以上ずっと同じ場所(石蔵)で醤油を作り続けています。
石蔵の壁や天井には長い年月をかけて蓄積された菌、独自の蔵付き酵母が存在しています。
この菌たちの働きと天然醸造により、唯一無二の有田屋の醤油の風味が生まれています。
蔵付き酵母って?
蔵に住み着く酵母(醤油づくりに欠かせない微生物)のことです。
蔵付き酵母は蔵により異なり、それにより蔵独自の味や香りが作られるといわれています。
群馬県安中市の風土、自然、気候、そして150年以上も続く石蔵での伝統的な醤油づくりの歴史が組み合わさり、ここには独自の菌の生態系が形成されています。
食塩水に醤油麹を仕込んだものを「(醤油)もろみ」といいます。
四季による温度の変化、長い間じっくりと発酵熟成させる天然醸造により深みのある醤油ができあがります。
醤油を搾る
醤油は液体調味料のため、醤油もろみを搾り、固体部分と液体部分を分ける作業があります。
醤油もろみは専用の布に包まれて、上から圧力をかけて搾られます。
有田屋の醤油をご紹介
有田屋の店舗で購入した70ml入りのの醤油。
今回は有田屋の代表商品である二つの醤油をご紹介します。
天然醸造しょうゆ
2年以上天然醸造で発酵熟成させた醤油。
さいしこみしょうゆと比べるとサラサラとしていて、まろやかでさっぱりとした味わいがあります。
普段の日常使いにピッタリ。
さいしこみしょうゆ
3年以上天然醸造で発酵熟成させた醤油。
とろみがあり、濃厚で後味もしっかりとあります。
お刺身やお餅などによく合いそうです。
蔵見学を終えて
歴史が積み重なった建物、醤油もろみを発酵熟成させる石蔵などに実際に入らせてもらうことで、有田屋の醤油がどのようにして作られてきたのか、歴史的な背景も感じながら学ぶことができました。
実際に見て触れることで体感する部分が大きかったように思います。
蔵見学を通じて醤油をより身近に感じることができ、「醤油の味をもっと味わってみよう」「醤油の味の違いを見てみよう」など醤油自体に興味が湧くようになりました。
醤油は毎日の食事で使うものなので、日常にちょっとした楽しみが生まれたような気持ちになりました。
有田屋の醤油蔵見学に興味がある方は、ぜひ有田屋に問い合わせしてみることをオススメします。
実際に見て触れることで、感じるもの(感動)があると思います。長い時間をかけて蓄積された歴史の重みを感じてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
発酵を通じて皆さまの生活が少しでも楽しいものとなりますように。