皆さん、こんにちは。
麹の仲間たちの長谷川です。
11月に入り、めっきり寒くなりましたね。
今年は昨年よりも寒くなるのが早かったように思います。
冬の寒い時期の麹づくりは室温が低いため、作業中は品温が下がりやすく、温度管理も大変になります。
今回は11月28日(火)~12月1日(金)にかけて行った麹づくりの様子について書いていきたいと思います。冬の寒い時期、どんなことを考えながら麹づくりを行っていたかについても書いていきたいと思います。
冬の寒い時期の麹の作り方、ポイントが気になる方は読んでみてください。
冬の寒い時期の麹づくりの注意点
冬は気温が低くなるため、室温も低くなります。
そのため作業時は品温(麹の温度のこと)が下がりやすくなります。
また冬は気温が低い上、一日の気温差もあるため麹箱(クーラーバッグなどの麹を保温する入れ物)内の温度管理が難しくなります。
朝方にかけて特に注意
冬は朝方にかけて気温(室温)が最も冷え込みます。寝ている間に品温が下がりすぎてしまわないように注意しましょう。
寝る前に気温(室温)が下がること、麹の発熱のことを考慮して麹箱内の温度調節をしてあげるといいと思います。
夏は麹が作りやすい
家庭での麹づくりは夏が一番作りやすいと思います。
夏は気温が高く、一日の気温差も少ないため(夜間気温が下がりにくい)、室温が高く一定に保たれるからです。
夏は熱源を利用しなくても室温の温かさを利用して麹づくりが行えるため、温度管理が楽になります。
材料
青森県産まっしぐら1.7kg、菱六「長白改良菌」6g(お米に対して0.35%)
私は青森県産まっしぐらで麹づくりをすることが多いです。
青森県産まっしぐらはお米が硬めで粘り気が少ないため、お米同士がくっつきにくく、一粒一粒にばらけやすいので麹が作りやすいです。
麹蓋は一升盛り(約1.5kg)を使用していますが、今回はお米1.7kgで作ってみました。
いつもは1.5kgで作っているのですが、量を変えてみたら作業性はどう変わるのかと思い、試してみることにしました。
種麹の量について
今回使用している菱六「長白改良菌」は100gで200kgのお米(洗う前の乾燥している状態)を麹にすることができる種麹です。
種麹の規定量はお米に対して0.05%(100g÷200,000g×100=0.05)です。
私は麹づくりに慣れないうちはお米に対して0.6%の種麹の量(規定量の12倍)を使用していました。
麹が問題なく作れることを確認しながら、徐々に種麹の量を減らしていっています。
今回はお米に対して0.35%の量を使用しました(規定量の6倍)。
種麹の量は、家庭での麹づくりが安定的に楽に行える量を各自で見つけていくのがいいと思います。
今回の種麹は「かわしま屋」で購入しました。
種麹「改良長白菌」100g-200kg量(菱六)
11/28 前日作業
①洗米
洗米するときはお米が割れないように優しく洗うようにしています。
「ぬかは麹菌の栄養にもなる」といわれているので、ぬかの香りと水の濁りがとれたら終わりにしています。
洗いすぎるとお米のデンプン質が流れ出てきてしまうので、洗いすぎないようにしています。
②浸漬(しんせき) 9:00~
冬は室温が低く、水温も低くなるので浸漬時間は長めにとり、今回は24時間浸漬しました。
11/29 1日目作業
③水切り 9:00~
浸漬して24時間後の様子。
お米は水分を吸収すると透明から白くなります。
水切りはザルを傾けておくとよく水分が切れます。小さなタッパーを下に置き、傾けています。
今回は水切りを1時間かけて行いました。
ストップウォッチを使うとかき混ぜるのを忘れないのでオススメです。
かき混ぜる時は上下を入れ替えるようにして、均一にお米の表面の水分が切れるようにします。
お米の表面部分は空気と触れているため、乾燥しやすくなります。部屋が寒く暖房をかけたこともあり、今回は乾燥防止でサランラップをかけました。
④蒸し
強火にかけてお米から蒸気が抜けてきたのを確認してから蓋をしました。
今回は蓋をしてから80分蒸しました。
蒸し器は蒸籠がオススメです。
今回は直径33cm(内寸29cm)の蒸籠を使用しました。
蒸し板は照宝の直径38ccm(中の空洞部分22.4cm)のものを使用しました。
ひねりもち
ひねりもちとは蒸し具合をチェックする方法です。お米をひねり潰して餅状になればOKです(お米に芯がなく、火が通っている状態)。
毎回ひねりもちを作り、その感覚を覚えておくことは大切です。
手に持ったときの蒸し米の湿り具合、まとまり具合、ばらけ具合、つぶれ具合、食べたときの硬さ具合など、ひねりもちからはたくさんの情報、感覚が得られます。
麹づくりにおいて「蒸し」は非常に重要な工程です。蒸しがいい状態だと麹の出来上がりもよくなります。
蒸し具合(ひねりもち)と麹の出来上がりを毎回見ていくことで、ちょうどいい蒸し具合を見つけることができるようになります。
青森県産まっしぐらは長く蒸してもお米は硬めでべた付かないので、今回は強火で80分蒸してみました。
ひねりもちにして食べてみるとグミのような弾力がありました。
芯がなく、火がしっかり通っていながらも硬めの蒸し上がりで、麹づくりに適した蒸し上がりになっていました。
⑤冷まし
冬は室温が低く、空気も乾燥しているため、蒸し米の温度は下がりやすく、乾燥もしやすくなります。
今回は敷布で蒸し米を覆い、ばんじゅうの蓋を半分被せてゆっくりと冷ましました。
こうすることで蒸し米の水分が飛んでお米が乾燥するのを防ぐことができます。
また蒸し米の温度が急激に下がり、種切りのスタートが遅れてしまうことも防ぐことができます。
この方法は「埋け飯(いけめし)」と呼ばれ、『麹本』(著者:なかじ)で知りました。
⑥種切り
蒸し米の温度が43℃になったら種麹(麹菌の胞子)をお米一粒一粒に付けるようなイメージで振りかけ、お米の固まりをほぐすようにしながら種切りを行いました。
冬は蒸し米の温度が下がりやすいので、種麹を振りかける温度を高めにして、手早く種切りを行い、温度が下がりすぎないうちに包み込むのがポイントです。
種麹を計るときは0.1gまで計ることができる電子スケールを使用しています。
種麹はジップロックに入れて冷暗所で保管しています。
⑦包み込み
種切り後はお米を密集させてひとまとまりにして保温と保湿をします。
ボウルを使うとお米をひとまとまりにしやすくなるのでオススメです。
お米を敷布で包み込んだら、その上にさらしを巻いてクーラーバッグに入れました。
保温と結露対策でクーラーバッグの下側と周りには新聞紙を入れました。
包み込み開始時刻:12:36 品温:32.6℃
クーラーバッグはキャプテンスタッグ(15ℓ)を使用しています。
クーラーバッグは麹箱にオススメ
クーラーバッグは保温性があり、軽く持ち運びやすく、使わないときは折りたたんでしまっておけるので麹箱にオススメです。
冬はクーラーバッグを暖かい部屋に移動させています(床は冷えるので直接置かないようにします)。
クーラーバッグ(麹箱)はミニ麹室です。麹の品温だけを見るのではなく、クーラーバッグ内の温度も作ってあげることが大切です。
私はクーラーバッグ内を温める熱源には電気毛布を利用しています。電気毛布をクーラーバッグに被せて、その上から膝掛けをかけるようにしてクーラーバッグ内の温度を作っています。
今回はクーラーバッグの内側に新聞紙を入れたので、クーラーバッグ内を温めるのに時間がかかったように思いました。新聞紙は始めからは入れない方がいいかもしれません。
切り返しまでの品温の目安
品温は30℃を切らないように、できれば33℃程度まで上げてあげるといいと思います。
ここで一日目の作業は終了です。
11/30 2日目作業
⑧切り返し
4:10 品温:41.8℃(包み込み後15~16時間)
切り返しは包み込みから18~20時間で行うことが多いですが、今回は品温が40℃を早めに超えたので、いつもより早めに切り返しを行いました。
切り返しは温度と湿度のムラを均一にして、酸素供給をするという役割があります。
麹は固まっていました。
白い点、模様がうっすらと見えます。これは「ハゼ(破精)」といいます。
「ハゼ」とは麹菌が成長して菌糸が白く見える状態のことをいいます。
ハゼが見られるということは麹菌の胞子が発芽して、菌糸を伸ばし始めているということです。
ハゼは麹菌の成長(繁殖)の具合を確かめる重要な要素です。
切り返し後の麹は麹菌の呼吸熱により品温が上がってくるので、麹の密集具合をゆるめにして同じようにクーラーバッグに戻しました。
この後に私は就寝しました。
切り返し(2回目)
8:28 品温:47.4℃ (包み込み後19~20時間)
起きたら品温が47.4℃に上がっていました。麹の密集具合をもっとゆるめにしておくべきでした。
2回目の切り返しを行いました。
1回目の切り返しの時よりもハゼが見られるようになっていました。
品温が上がりすぎないように、大きめの水切りかご、大きめのクーラーバッグに移しました。
クーラーバッグはキャプテンスタップ(35ℓ)を使用しています。
切り返し(3回目)
10:53 品温:43.6℃(包み込み後22~23時間)
クーラーバッグの中に結露ができていました。
周りが冷えていたので新聞紙を入れて結露対策と保温をしました。
家庭での麹づくり
お米の乾燥(保湿)のことを考えると包み込みから24時間までの間(「盛り」と呼ばれる麹を麹蓋に移す前あたりまで)は切り返しは一回におさめて、品温は40℃を超えないように温度管理ができればと考えていましたが、現実はなかなかうまくいきません。
切り返しをするとお米が空気に触れるので乾燥しやすくなるのと、急激な品温上昇も乾燥につながると考えられます。
家庭での麹づくりは生活の中で無理なく行うことが大切だと思います。いいものを作ろうという気持ちは大切ですが、麹のこと、温度管理に気をとられてしまうと、麹づくりの負担が大きいものになってしまい、麹づくりを続けることが大変になってしまうからです。
麹づくりの経過が理想通りにうまくいかなくても、大きく外れなければ麹はできますし、数をかけていくことで大きく外れることもなくなっていきます。
家庭での麹づくり(麹との向き合い方)は私はまだ研究中ではありますが、まずは「生活とのバランスを考え無理なく麹と関わる」というスタンス、考えを持ちながら麹づくりをしていくといいと思います。
⑨盛り
13:29 品温:40.6℃(包み込み後24~25時間)
クーラーバッグに入れておくと品温が上がりすぎてしまうので、麹蓋に盛りました。
品温が下がらないよう、麹は外側まで広げずに中央部分に寄せ集めました。敷布を敷いておくと麹が寄せやすいです。
敷布は乾燥防止(保湿)のため麹に軽く被せるようにしておきました。
熱源はゆたんぽを二つ使い、麹箱内を温めています。
⑩手入れ(盛り以降)
17:01 品温:37.2℃(包み込み後28~29時間)
ゆたんぽを替えて、手入れをしました。
19:52 品温:45.0℃(包み込み後31~32時間)
品温が上がってきたので敷布を外して麹を広げました。
12/1 3日目作業
1:17 品温:37.3℃(包み込み後36~37時間)
湯たんぽを替えてから寝ました。
6:21 品温:42.6℃(包み込み後41~42時間)
ゆたんぽを替えて、手入れをしました。
麹を食べてみるとほんのりと麹の味が出始めていました。
麹箱の温度管理
私は麹箱内はゆたんぽを熱源にして温めています。麹箱内の温度は品温との関係を見ながら調節していますが、麹の発熱により品温が上がりすぎてしまう場合は、麹蓋を少しずらしています。
布巾を掛けて麹の熱が逃げすぎないように、乾燥しすぎないようにしています。
9:25 品温:40.7℃(包み込み後44~45時間)
10:00頃に麹を食べてみるとほんのり甘さが感じられました。
16:11 品温:37.1℃(包み込み後51~52時間)
ゆたんぽを替えて、手入れをしました。
19:30 品温:43.5℃(包み込み後54~55時間)
品温が高くなっていたので、ゆたんぽを1個にしました。
⑪出麹
22:36 品温:36.1℃(包み込み後58時間)
麹は硬めの仕上がりでした。
麹を食べると噛むほどに甘さが感じられました。
今回の麹づくりで意識していたこと
盛りまでに切り返しを三回と品温の急上昇もあったので、お米の乾燥は進んでいた部分はありますが、敷布を長めに掛けて保湿を心がけていました。
麹の発熱で品温が上がりやすくなるタイミングで敷布を外して、その後は品温を見ながら定期的に麹の手入れを行いました。
包み込み後36時間以降は品温が38~42℃に保たれるよう麹箱内の温度管理を行いました。
今回は盛り以降、麹を触り、どちらかというと乾燥気味に仕上げてみました。
⑫枯らし
約13時間ほど室内で乾燥させました。
12/2 4日目作業
⑬麹蓋を洗う
麹蓋は洗剤洗いをした後に熱湯をまわしかけて、天日干しにしています。
⑭甘酒チェック
麹づくりの目的は酵素を作ることです。
私は麹を作った後は、甘酒を作り、麹の出来具合を毎回チェックするようにしています。
【材料】麹:水=200g:400g
ヨーグルティア60℃6時間設定で、途中かき混ぜながら甘酒を作りました。
嫌な香りはしなく、お米一粒一粒が柔らかく、甘酒としての甘さがあり、嫌な後味もありませんでした。
私は麹の用途は甘酒で使うことが多いので、甘酒にしたときに甘くなる麹を目指して麹づくりをしています。
アミラーゼの酵素が生産される温度帯を維持することと、出麹時間を伸ばし、麹菌に酵素生産をしてもらう時間を長めにとっています。
麹づくりを終えて
麹づくりのポイントは温度管理ですが、冬は温度管理が難しくなるので許容範囲を広げて麹づくりをしてあげるといいと思います。
何事も無理なく継続していける環境作り、考え方を持つことが大切だと思います。
冬の寒い時期の麹づくりは大変ですが、無理なく楽しみながらやっていきましょう!